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仙台家庭裁判所気仙沼支部 昭和35年(家イ)36号 審判 1961年8月12日

申立人 村田茂(仮名)

相手方 村田サチコ(仮名)

主文

申立人と相手方とを離婚する。

当事者間に生れた長男正(昭和二十五年十月〇日生)二男明(昭和三十三年十二月○日生)の親権者を申立人と定める。申立人は相手方に対し、慰藉料金三万五、〇〇〇円を昭和三十六年八月三十一日限り仙台家庭裁判所気仙沼支部に寄託して支払う。

理由

本件申立の要旨は、申立人と相手方とは昭和二十五年五月三十日婚姻届出をした夫婦であつて、長男正(昭和二十五年十月○日生)二男明(昭和三十三年十二月○日生)をもうけたが、申立人が船員として別居生活を続けることが多いところ、その間勝手に家出していた相手方から昭和三十四年九月十四日突然離婚の協議を受けた際、申立人は前記二児を引渡されたが、当事者間で離婚届を作成するに至らず、その後昭和三十五年七月相手方から離婚届用紙の郵送を受けたので、申立人において署名押印のうえ所要の届出手続に及んだところ、相手方から不受理の申出があつたとのことでこれが届出の受理を断られたものである。

よつて申立人は船乗りの関係上かかる状態をいつまでも継続して行くことは出来難いので、主文一、二項と同旨並びに申立人の相手方に対し慰藉料金三万円を支払う旨の調停を求めると謂うのである。

そこで当裁判所において大阪家庭裁判所および山口家庭裁判所下関支部に嘱託調査の結果、相手方は、右申立の要旨中、相手方において勝手に家出したことについては異存があり、慰藉料については一日金一〇〇円の割合による約十年分計金三六万円を請求するほか他は概ね承諾して離婚する旨判明した。

以上の次第で相手方は旅費等の都合上当裁判所に出頭することが出来ないため、調停は成立しなかつたけれども、当裁判所は双方のため衡平に考慮し一切の事情を勘案して、申立人と相手方とを離婚し長男正二男明の親権者を申立人と定め、申立人は相手方に対し慰藉料金三万五、〇〇〇円を昭和三十六年八月三十一日限り当裁判所に寄託して支払うのを相当と認め、家事審判法第二四条によつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 遠藤昌義)

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